ヘッドフォン難聴を心配する

電子レンジの音が聞こえづらい…それは手遅れのサイン 若者に忍び寄る「ヘッドホン難聴」【福井発】FNNプライムオンライン
このような記事がありました。
電子レンジの音が聞こえづらい…って怖いですよね…
そのままいくとインターフォンの音とかも聞こえなくなりますって……

ちなみに、耳の聞こえない方向けに、光るインターフォン、あります。
appleも障害ある方むけの機能があったような・・

難聴をさけるためのポイントは大きな音で聞かない。長時間聴き続けない。

これに尽きるのですが、この大きな音。というのがわかりづらいですよね。
80db以上の音量で1週間に40時間以上。

80dbってなんぞや?と思いますよね。はちじゅうデシベル。
地下鉄車内よりは静かで、外で電車が通過してる音との間ぐらい。という感じです。かなり大きいです。

いやいや、そんな大きな音出てないし聞いてないですよ。
と、誰もが感じると思うんですが、これって相対的な音とか物体の大きさからの話ではなくて、絶対値の話なんです。

例えば、めっちゃうるさい場所で、イヤフォンやヘッドフォンで音楽聞いている。という状況を仮定してます。めっちゃうるさいその場のベースの騒音から、さらに音楽が聞こえるように音楽のボリューム上げますよね。その音楽の音量の大きさって、いうなれば騒音の値+音楽の音量。このような感じで捉えるべき、と説明して伝わりますでしょうか?
静かな部屋で音楽を聴いている時の音量が、スマホのボリュームで10段階のうちの2だとします。
これが騒音のある状態だと2じゃ聞こえないので、7とか8とかまで上げますよね?


つまりこの、絶対量としての8とか10が耳の細胞的にマズい。ヤバい。危険。 って話なんです。

「聞こえないんだから音量あげるし、その状態の聞こえ方って2のときと同じぐらいの聞こえにあわせてるだけなんだけど?」
この感じで考えていると危険です。iPhoneではその音量を最大8までのリミットにする。とか、apple watchで環境音を常に測定してて音が大きな場所にいると通知がきたり、1週間の環境騒音の暴露量なりをデータとして見せてくれたりはします。けっこう、こだわりがあるんですね。
これはノイズキャンセリングをしても同じ。絶対値としての音の大きさ。これに気をつけてください。

イヤフォンやヘッドフォンなど再生装置からどれぐらいの音量がでているのか?を測定するのはappleのAirPodでもない限り不可能に近いので要注意なのですが、環境騒音に関しては音圧測定 アプリ とか 騒音計 アプリ で調べるとでてきます。のでご自分で調べたい方はスマートフォンとアプリでぜひ確認してください。専用の機材から大幅に(10dbとか)で違いがある、というほどでもないように思います。

ちなみに
120db ジェット機のエンジン近くのエンジン音
110db 自動車のクラクション音
100db 電車の音ガード下
90db 工場内 地下鉄の中
80db 線路脇や飛行機の機内、パチンコ屋さん店内、怒鳴り声
70db うるさい街、セミ音
60db 車の車内 掃除機
50db 静かな事務所
40db 静かな住宅街の昼 図書館
30db 静かな住宅街の夜
20db ささやき声 木の葉のふれあう音

弊社所在地、小平市の夜の屋外は34dbぐらいです。音響作業をするスタジオはだいたい30db未満ですが、都心ほど通奏低音的な低周波の騒音があるようで、かなりの防音・吸音・遮音工事をしても”切りきれてない”感があります。空気があるということ、空気の通り道があると完全に切ることは難しいとスタジオ設計士の方から伺ったことがあります。極力、静かな環境に静かなスタジオを作るしか避ける方法はありません。
うるさい環境は、地下鉄、都営大江戸線が感染予防対策で窓を開けて走行をしていたので青山一丁目から大門ぐらいの間でiPhoneアプリしらべで105db(!!)ぐらいまで測定したことがあります。これはもう尋常じゃないほど、会話ができないぐらいうるさいので、耳栓かノイズキャンセリング必須です。特に!ミックス作業を行うために移動が地下鉄の場合は気をつけています。


参考記事
コロナ禍で地下鉄大江戸線の車内が「騒々しい工場内」レベルの音になる理由 AERAdot



劇場映画作品、弊社でアニメをつくるときや5.1chのNetflix作品などを作るときは、ホワイトノイズで測定したモニターレベル82~85dbぐらいに校正したモニタースピーカーで作業を行いますが、作業音量や蓄積時間には気をつけています。85dbの環境下で従事できるのは8時間です。 映画のクライマックスでは85dbのモニター環境では105dbぐらいまで音がでることがあるので、気をつけなくてはなりません。耳も疲れることでだんだん、よくわからなくなってきてしまうので、いいミックス、バランスにはなりません。
※映画館の再生音量は規定としてはホワイトノイズC-weightで85dbです。

MAKE LISTENING SAFE
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/177884/WHO_NMH_NVI_15.2_eng.pdf


「騒音障害防止のためのガイドライン」 解説パンフレット(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000679171.pdf

海外の音楽のマスタリングエンジニアのインタービューでは1時間程度、78dbぐらいを上限の大きな音で作業をしたら外に散歩にいったり休む。と書いている人が多い印象を持っています。またほとんどのエンジニアが大きな音では作業をせず、上限で78db、下は60dbぐらいだったと記憶しています。
横道にそれますが、オーケストラの演奏をする方やスタジオでレコーディングをするスタジオミュージシャンの方達も難聴の方が多いと聞いたことがあります。そりゃそうですよね、仕事で何時間も楽器のそばで音を出して練習したり演奏しているのですから……。これは結構かなしいというか、やるせない気持ちになる不都合な事実です。

耳はみずから疲れを訴えてはこないので、耳鳴りがするとか、耳使ったな。
というときは、弊社ブログ記事[耳のメンテナンス]も参考にしてもらいつつ、よく温めて、血流をよくして、耳のツボを押したり、揉んだりしてください。首から、耳の後ろからと、耳朶(じだ)全体、それと耳の穴のなから。マルチに攻めるのがおすすめです。

一度こわしてしまうと聴力は二度と戻らない、回復不可能といわれております。
本当に気をつけてください。変だなと思ったらすぐに医療機関にいってください。
逆に加齢やご病気にかかわらず、聞こえに不安があるかたには、医療機関を。そして補聴器は弊社小平市のおとなり、国分寺市に本社がある補聴器の会社、リオン株式会社の補聴器をおすすめします。
今や補聴器もデジタルアンプ、の時代で、デザインや色も進化しています。


余談 apple社の音のこだわりについて
これは故Apple社CEOのスティーブ・ジョブスが難聴だったとか、難聴に理解があったため、iPodの音量がかなり大きくでるように設計されてたとか話があります。appleのコンピューター、Macintosh、通称マックはノートPCでもデスクトップPCでもスピーカーや帯域再生能力や音には昔からこだわりがあります。余談ですが、映画業界、映画館の再生環境の基準を提示した革命、THX社の技術者であったトムホルマンはapple社で仕事をしているようであることを私は映画『ようこそ映画音響の世界へ』(2019)の中でのインタビューにトムホルマンがapple社の肩書きででていたことで知りました。
THX社はサンクス!の略ではなく、スターウォーズの監督であり原作者であるジョージルーカスの会社であったルーカスフィルムの1部門としてスタートした会社で、THX社が定めた基準をクリアしている映画館に認定をあたえるライセンスビジネスを提供しています。基準は映像の明るさや明瞭さ、音響は再生能力や騒音値、残響時間など映画製作者の意図を忠実に再現し、映画をどのように見て欲しいかを正確に伝えるためのものになっています。国内の映画館でもTHXの認証をとっている映画館、音響制作を行う認定スタジオがいくつかあり、それらは毎年、アメリカ本国からスタッフがきて、設備の調整、校正をおこなっていると聞きます。ルーカスが音に並々ならぬこだわりがあったから、なのでしょうね。スターウォーズやトイストーリー、ジュラシックパークやプライベートライアンといったアカデミー賞の音響賞の常連のスカイウォーカー・サウンドも、ジョージ・ルーカスの創設です。(現在はルーカスフィルム、ウォルト・ディズニー・カンパニーが親会社)






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Hkurahashiのアバター Hkurahashi 代表取締役社長

株式会社オトナリウム代表取締役社長  
好きな言葉は  楽しみは春の桜に秋の月 夫婦仲良く三度くふめし

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