原題はCreed 3 Final。『ロッキー』シリーズのスピンオフ、アポロ・クリードの息子、アドニス・クリードを主人公にしたクリードシリーズの第3作。
日本アニメ大好きなマイケル・B・ジョーダンが特別アニメをサプライズで制作!映画本編終了後に特別短編の上映が決定!!※Dolby Cinema®版では特別短編の上映はございません。
マイケルさん。クリードの映画本編で主人公を主演しつつ、監督もしてます。すごい才人。
「クリード 過去の逆襲」本編終了後に特別アニメ上映、日本のクリエイターとコラボ
Dolby Cinema®版では特別短編の上映は ない 。ということなのでご注意ください。
上映映画館の情報をワーナーさんの公式サイトで調べていただけますと幸いです。
特別短編を弊社で効果音担当しましたので(詳細は後述)
映画本編も終わった後の短編もとてもよかったです。
Creedシリーズは初見だったのですが、面白かったですねぇ。
はじめての方でもなんの心配もいりませんので、ぜひ!
ボクシングとか詳しく無いし、パンチとか暴力的なのはちょっと・・
という方も先入観はすててご覧になってほしいですね。
こぶしで、拳で。って原始的ですけど、野蛮ではない。
映画本編で「ボクシングは暴力じゃ無い。」と言ってますが、そのとおり。
描かれている物語はとても普遍的です。
過去作を知っていれば何十倍も楽しめるのは間違いないですが
ふつーーにお話しの内容わかりますし、楽しめます。おすすめです。
特別短編アニメ、日本人スタッフで制作され監督は名作『あしたのジョー』を継承する『メガロボクス』シリーズの森山 洋 監督。
森山さんも天才。日本のほこる才能のかたまりのお一人です。
音まわりは『メガロボクス』シリーズのスタッフでして、メガロボクスシリーズ同様に
弊社では音響効果、効果音。担当いたしました。
音楽とファイナルミックスは海外(おそらくアメリカの西側だと思われます。)でした。
ジャパンなアニメーションが国際化していく流れの中で、
今後はこうした製作形態はもっともっとあるのかもしれませんね。
弊社としても信頼関係やスムーズなやりとり、納品時の形態や仕様を効率化、
先方のご要望に最適化できるようにもっと経験を積んでまいりたいと考えております。
海外とのお仕事のフロー
ひとまず海外での配信や公開が大前提ではあるものの日本で映像作品をつくる場合、セリフ音声をどうするのか?という分岐点があります。
セリフ音声は日本語でつくって納品。現地言語への吹替は海外?とか、
そもそも現地言語でセリフ音声は収録、日本で効果音や音楽をつけてミックス。
セリフ音声は日本語で収録するが、ミックスふくめそこから先は海外。
等、さまざまありますね。
セリフ、音楽をひとまとめにするミックスの工程では、
ひとまずセリフがないことにはミックスバランスなども何を基準に?
となってしまいます。海外へラフなミックスを渡してもセリフのタイミングで効果音が邪魔するミックスバランスになっているので先方ではかえってミックスしづらい……
と、全体のワークフローとしては作業効率が悪化する種にもなりかねません。
弊社で担当した作品でも海外でまず公開。日本国内では未定。
こうしたケースの作品はありますし、ありました。
私個人的な能力では国外言語であれミックスバランスには影響なく、
(少なくとも英語は概ねわかりますし、フランス語も単語の聞き取り程度では語頭・語尾の音などは拾えるので)最終的な現地言語でも聞きづらくない処理やバランスで効果音トラックを納品できるので問題はありません。
日本語と外国語は文法構造がちがうので、意味がとれるギリギリの音声バランスを攻められるかどうかは、子音や語頭の音の処理や破裂音が大事なことを、その言語が聞けていることが重要になってきます。
イントネーションや発音の正確性や芝居感に関してはさらに専門的になるので、専門家の監修が必要になります。
効果音の芝居感やイントネーションとなると、国外の方が好むバランスや帯域、普段から親しんでいる表現や音の付け方も、日本式のものとは違って有ります。どこまでジャパニメーション感で押すか、それとも海外、グローバルっぽい親和性のある音の雰囲気にするか。のラインの調整なども実は細かいところであったりはします。ここは言語化できない部分なので説明は今回は省きます。
あくまで私の話はミックスする音のかたまり、パーツ(セリフ・音楽・効果音)としての”音”の領域のお話ですよ。
今回のCreed本編からの特別短編。
学習面でも本編の音響設計で勉強させてもらいました。あちらでミックスしたバランスから自分の音響設計を逆算し、あちらのスタッフがどう料理するのか?というのも大変勉強になりましたし、興奮しました。本編のほうは、逆に、日本アニメ好きのマイケル監督の好みも反映なのか、日本のアニメっぽい表現や音付があったように感じましたし、我々のした仕事にもとてもリスペクト、敬意を払ってもらったと感じました。
音だけで、そんなことわかるの?
と思うかもしれませんが、音を扱う人間だからこそ、わかることがあると感じています。
効果音など非言語と思うかもしれませんが、世界で活躍する効果音の人間からすれば、何が良い音で何が悪い音か、は一聴すればわかること。丁寧な仕事か、一生懸命やったものか、そうでないか、それも一聴すればわかること。
私の勘違いかもしれませんので酔っ払いの戯言ぐらいに留めておいて欲しいのですが。
年々、ハリウッド作品が日本のアニメで育った監督達による演出で、日本のアニメの演出手法や表現に近づいてきているような感じがします。かつての洋ゲーといわれた、大味な海外のコンシューマービデオゲームが、徐々に日本の細やかなパラメーターや世界観設計のゲームに近づいてクオリティがあがっていったことや、日本とアメリカの電気製品の競争とジャパンクオリティの歴史に似ていると思っています。横道にそれました。
私が申し上げたいことは、今までの先輩達が成していたアニメの音も表現は、なにも劣っていることもなかったという証明だと思う。(90年代中盤ぐらいからハリウッドが凄すぎて、めっちゃ負けてる、劣ってる。という自虐的な意識、空気が業界に従事している人たちの中にも強かった。)今最前線で活躍している海外や国内のクリエイターを通して、過去の作品の影響や情熱、想いが現代の若者や視聴者にも影響を与えて生き続けてる。私も日本や世界のこれまでの作品をつくってくれてきた方達へリスペクトを持ち続けている、ということ.それを改めてここに書き記しておきたい。Creedもメガロボクスも、間違いなくその系譜の元にその想いと熱を継承している。ということです。
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