学校では教えてくれない、!!ノンモン!! ポストプロダクション業界やダビングスタジオでよく聞く専門用語解説。(演出さんや監督、プロデューサーの方にも役に立ちます。)

テレビ向けのコンテンツを制作する際に、いきなりでてくる用語No.1に

ノンモン

があると思います。non-modulation。音がない無音部分のことを言うのですが、
テレビ番組は番組(プログラム)とCMの間に無音部分をつくっているんですね。
映像は直結で繋がっていますが、音は無音の区間が半秒。1秒間が30フレームだとすると
15フレームの無音区間。1秒が24フレームだと12フレーム。無音区間のことをさしています。
NHKや民放、映画だったりそれぞれで無音区間の長さのルールが違うので、きちんと確認しなければいけません。

番組側の最後端で半秒、次のCMの頭の部分で半秒なので、合計で1秒間。無音の部分が存在していることになります。これは言われてもなかなか気がつかないかもしれません。
仕事をはじめると、この無音部分を絶対に設けなければならないため、このタイミングではじめて無音部分の存在を知る人も少なくないのです。
 というか、仕事をするまでまったく知らない方しか私は会ったことがなくて、毎回毎回、教えることになりますので、正直、学校で教えて差し上げてくださいませんか?と思っています。これは放送する上での仕様ですので絶対に守らなくてはいけないルールなのです。

大袈裟に言えば3回、ノンモンとらずに作って、4回目に注意されても守らなかったら、クビにされても文句言えないレベルに絶対の話なのです。納品つきっかえされてしまうか、先方の手を煩わすことでありまして、半秒、強制的に落とされるからそれでいい、みたいなルールではないわけです。放送される成果物なり、商品を扱うことなので仕様に従うことは当然ですし、絶対です。今はラウドネスという音量の規定値のルールもありますが、今回はその話はしません。

実はこのノンモン、クッションとも言う人もいますが、音を入れることはできないので、映像の表現にも関わってきます。冒頭半秒分は音は入りません。なので、そこに音が必要なカットを入れても、音は入らなくなります。このルールを知らないと、音を入れることを想定して映像を編集した、またはカットを用意していたのに、ダビング現場では

「ここ放送上の規定でノンモン必要なんで音入れることできないんです。」

と言われてしまいます。
私も音は入れてあげたい気持ちはありますし、知らなくてそういうことになった不幸さに共感しますし同情します。が、どうにもできません。せめて、半秒明けのすぐのタイミングに映像を後で動かしていただくという約束にして、そのタイミングから音を入れる。ことぐらいしかこの場合の回避策はありません。私が関わった作品でも以前、こうしたことはありました。まだ経験の浅い、監督や演出さんですとそうしたことが起こる可能性があります。気の利いた編集さんなら、音入らないですが大丈夫です?と言ってくれる方もいるかもしれませんが。

プロデューサーさん側でもノンモンの有無の必要性を聞かれて困ったことがある。とお話くださった方のエピソードも印象的でした。監督や演出さんはその先の放送媒体やフォーマットのことまでは責任はありませんし、関知していませんので現場でプロデューサーさん側へ我々が聞くことになるわけです。音のスタート位置、終わり位置の音をもっているのは、我々音響効果やミキサー担当者です。どちらも、きちんとノンモンをとっておく必要があります。最終的にこのプログラムコンテンツがノンモンが必要なのか、ノンモンをとってある最終納品物(音完パケ)としたほうがいいのかを確認しなければないわけですね。とりあえずノンモン取っておけばいいじゃないの?と思われるかもしれないのですが、それでは美しくない、というケースが往々にしてあり、美的観点からできたら理想的な綺麗さで仕上げたいゆえに、ギリギリの話になってしまいます。

 そうはいっても、音声ができたところでまだその先のことは未決定。プロデューサー側でも困ることしばし。という状況になるわけです。
我々としては、TVで放送する予定があればノンモンとっておきましょう。とか、ラウドネスミックスも用意しますか?といった話になるわけです。
でも放送はしなくて配信だけですよ、とか、ひとまずそのまま音的には綺麗なはじまり、自然な余韻でおわらせておいてくれればOKです。という場合もあります。

ノンモン明けからのスタートや、ノンモン終わりへ向かう黒味へのフェードアウトなどの映像がノンモンで音が入れられない部分を加味していないため、音楽余韻などを綺麗に聞かせるとなると、どうしても音を急に絞った感あふれる絞りにせざるを得なく、せっかくの終わり方が急峻なすぼまり状態になり美しくない。そうしたケースが産まれてしまうんですね。映像だけで音がなく編集しているとどうしてもそうなりがちです。音のことを想像してもらって映像編集をしてもらうか、あとで黒を詰めて短くするから長めに終わらせる。(配信などの場合でしかできないですが)ぐらいしか方法はない。
 TVアニメなどは尺は放送フォーマット上、すでに決まってますし、映像も決めた尺にむかってコンテをつくってあって映像をつくってあるので、余地はほとんどないんです。音楽を想定して余白をもうけてもらうことぐらいしか、音が入る前段階で可能な映像側の措置はない状態です。

読後感というかラストの印象は作品の評価にとても重要な要素です。
ノンモンと音の余韻。少し加味してもらえると、グッといい印象で終わる作品に仕上がるはずです。
優秀な音響スタッフであれば、多少の間の悪さや意図的な長さがある映像に関しては、あの手、この手でその間伸びしてる感を薄めようとしたり、視聴者に考えさせる間を与えてるのかな?といったことや音楽の余韻まで計算してここまで伸ばしてるのかな?なんとかここまで音楽を届かせよう。といったことをしてくれるはずです。スタッフを信頼して、共に協働して良い作品が創れると、幸せですよね!
私の話だけ鵜呑みにしないで、複数サイト、参考にされてくださいね!

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この記事を書いた人

Hkurahashiのアバター Hkurahashi 代表取締役社長

株式会社オトナリウム代表取締役社長  
好きな言葉は  楽しみは春の桜に秋の月 夫婦仲良く三度くふめし

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